最恐ドクターの手懐けかた II
「おい、奈々」
その声ではっと我に返る。
慌てて声のするほうを見ると、お馴染みの白衣の下に緑色の術衣を着た遠藤先生が椅子に座っていた。
腕を組んでどっかりと。
こんな遠藤先生を見ると安心する。
それはもちろん変な服を着ていないからでもあるが……
そのアーモンド型の瞳は、愛しそうに私を見つめているから。
女の子にとって一番恥ずかしい姿で、狂ったように叫んで出産する姿を見られてしまった。
愛する人には絶対に見られたくないその姿を。
遠藤先生は引くだろうなと思ったのに、そんなことは全くないらしい。