最恐ドクターの手懐けかた II





ナースステーション中が静まり返った。

近くにいた中井先生でさえ、目が点になっている。

そして、見兼ねた心優しい畑中先生が桃尻先生に遠慮がちに言う。




「桃尻先生、冴木さんは妊婦なんだよ?」





だけど、桃尻先生は強かった。

強かったというより、モンスターだった。





「は?妊婦?

妊婦って病気じゃないでしょ?」




たしかに病気じゃないけど……




「そうやってチヤホヤするから、勘違い妊婦がマタハラって騒ぐんですよ」





いや、どう考えてもあんたはマタハラだ。

そして、畑中先生に向かってもその態度、医師以前に社会人としてあり得ないのではないか。




はらわたが煮えくり返った。

だけど、冷静に冷静にと言い聞かせる。

ここで桃尻先生と喧嘩をして、同レベルまで堕ちたくないからだ。


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