最恐ドクターの手懐けかた II
その声を聞いたらイラッとした。
ぶん殴りたい気持ちでいっぱいだった。
出来る限り平静を装って振り向くと、そこには顔を歪めて立つ桃尻先生がいたのだ。
彼女は敵対心剥き出しで私に言う。
「この病室に戸崎柊がいるからって、入り浸って媚び売るのやめてくれない?」
コイツ、知ってるんだ。
……というより、私があんな変態馬鹿に媚び売るはずないじゃん。
「患者が友達なので」
そう言って通り過ぎようとする私に、彼女はさらに喧嘩を売る。
「仕事に私情は厳禁でしょう?」
「そうですね」
イラつくように吐き捨てて、足早に逃げた。
そうそう、仕事に私情は厳禁。
ビッチもたまにはいいこと言ってくれるじゃん。
あんたが遠藤先生に媚び売っても、知らんぷり知らんぷり……