最恐ドクターの手懐けかた II
Case.5 甘やかさないでください
久しぶりに、その豪華な新居に帰った。
まだ、五回しか泊まったことのないその新居に。
その五回のうち一回は遠藤先生が当直で、もう一回は宿直で呼び出しがあった。
広い部屋は、ダークブラウンを基調とした高級感溢れる内装だった。
きちんと整ったリビングダイニングに、ピカピカのキッチン。
そこには、素晴らしいキッチンに似合わない無臭漢ラーメンが大量に積まれていた。
リビングの隣には、廊下を挟んで二つの部屋がある。
寝室と……開かずの間、通称「漢部屋」だ。
スタジオと同じ防音構造になっているその部屋に何があるのか興味津々の私は、そこに入ったことがある。
すると、何本ものギターやベース。そしてドラム。漢ラーメンの空のカップが大量にあった。
それを見て、笑いを隠せなかった。