紅色に染まる
隣では何も言えなくなっている雅斗。


ナイフを手にして震えていた。


「…1人を殺せば僕の願いは叶うんだよね…?」


そう一言言うと私の方にナイフの刃先が向く。


「じゃあ…もう演じる必要はない訳だ。」


私の顔の横をナイフが通る。


頬には私の血が滴り首までたれていく。


「…え……」


私は何も出来ない。


肩を捕まれ床に押し倒される。


喉にはナイフがあてられて少し動くだけで喉が切れてしまいそうだった。


「1人が消えれば僕の願いは叶うんだ…だから…ごめん消えて…?」


そう言ってナイフを高く振りかざした。


私は目を瞑るが痛みは来ない。


「そのまま動くな?」


「…は?誰…?邪魔しないでくれる?」


「やだね。1人消せば次のフロアに行けるんだから」


そんな会話が聞こえた後体に重たい感覚がくる。


目を開くと目の前で倒れている雅斗。


生温い液体が手や服にまとわりつく。
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