僕と、野獣系の彼女
ということは、彼女は

下り坂を疾走する僕を追いかけてきて、すんでのところで止めてくれたっていうのか

転がるように坂道を下っていた僕より、さらに上回るスピードで…

「あっ、やっば!

アタシ遅刻寸前なんだ、忘れてた

じゃあな、アツヤ!」

そうだ、リンが遅刻寸前ということは

僕も同じく、遅刻寸前!

「リ、リン…」

ちょっと待って…言おうとしたときは、彼女は脱兎のごとく駆け出し

僕の視界から、消え去ろうとしている

もちろん、僕の両足はいまだにガクガク

力を振り絞って、彼女を追いかける

いや、追い付くはずはないけど

僕たちの通っている高校は、ここから少し平坦な道を歩き

さらに途中から、急激な登り坂へと続く

高校は、その登り坂の頂上付近にある

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