僕と、野獣系の彼女
……

梅雨も終わりかけたころ

体全体にまとわりつくような湿気を引き連れ、

僕は夕方、自宅にたどり着く

坂道を登り詰め、ふうふう言いながら

夕暮れの、ちょっと薄暗くなってくる、この時間

黄昏時…

昔の人は、「他そ彼」、つまり「あそこにいるのは誰か?」と呼んで

視界の悪い、この時間帯を、恐れていたらしい
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