『  』
『彼』と『私』の初恋

 これは、まだ、

私が恋を知らなかったときの物語



彼との出会いは、同じクラスだった。

私は、どうしても、家に居づらくて、学校に一番早く来ていた。


その彼は、私より先に教室にいた。


二人きりと言えば、ロマンチックだけど、
何も会話をしなければ、ただ気まずいだけ



 けれど、あの日は、何となく、話しかけてみた。



「何でいつも学校に早く来るの?」



彼は、こちらを見て、少し驚いた表情をして、こちらを見てから、少し間を置いて


「本が読みたいから」


「家でゆっくり読めばいいじゃん」



少し考えてから、ゆっくりと話始めた。



「小学校の時は、
本に夢中になりすぎて、学校に行くのを忘れたときがあって――。
それから、学校に来てから読むようになった」


「なにそれ、予想の斜め上を行く解答だね」


彼のどこから出てくるの分からない考えに笑っていた。



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