『  』


 この気持ちは何だろう?

胸が締め付けられるこの気持ち


「どうして泣きそうな顔をしているの?」


彼の言葉で、自分が泣いていることに気がついた。


「分からないよ
あの小説は君の初恋相手に向けた手紙のようなものだと思ったからかな。

なんか、胸の辺りが締め付けられて、涙が止まらなくなった、どうしてだろう
どうして、涙が出てくるんだろう?」


自分でも、何をいってるか分からないほど、言葉が、感情が涙と一緒に溢れてきた


「僕も、その感情を知ってる。
その人の事を想うと、胸が苦しくなって、

ちょっとしたことなのに嬉しくなったり、その人の言葉や行動、態度で一喜一憂していること

そこで、気がつくんです 


あぁ、これが、恋なんだって」



「恋?

そっか、私は、君に初めての恋をしていたんだね。

でも、君が想っているのは違う人でしょ。

私の入る隙間なんて何処にもない」


「ありますよ」


「えっ」


「あなたの事を見ていると、
前にも同じような感情を抱いたことを思い出したんだ

だから、僕はあなたに初めての恋をする

そういう意味では、誰しもが初恋だよ」


「なにそれ」



私は、泣きながら、笑ってしまった。




「僕の恋人になってくれませんか?」


「私は、君が好き、側に居て欲しい。

私を君の初恋相手にしてください」


「はい、大切にするね」


そのあとは、嬉しくて、涙が止まらなかった


彼は、私を抱き寄せて、

子供をあやすように背中をリズムよく叩きながら、

泣き止むのを優しく見守るように待っていてくれた。



そんな彼の優しさも好きだ



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