長野さんはイケメンさん
そして、土曜日
土曜日。いつもなら休日は10時頃まで寝てるのだが、6時半に目が覚めてしまった。

シャワーを浴び、トーストと珈琲で朝食を済ませる。

今日は、長野さんと映画を観に行く日だ。
デートって言ってたし、あんなイケメンの隣に並ぶのだから、オシャレもしたい。

ベットの上にあれこれ服を並べて、鏡の前で悩んでしまう。
可愛い系? 綺麗系? う~ん…、清楚な感じ?
どうしようと、いろいろ考えて、Aラインのワンピースにカーディガンという落ち着いた感じに決めた。

なんか、ドキドキしてきた。
男性と二人でお出かけなんて…、あまりにも久し振りで緊張してしまう。

もうすぐ約束の時間だなぁと思っていたら、スマホの着信音が鳴る。
画面を見ると長野さんからの電話だ。

「も、もしもし。」

「もしもし、優香里ちゃん? ちょっと早いけど、今着いたんだ。下で待ってるから、準備が出来たら来てくれるかな?」

「ありがとうございます。今行きます。」

階段を降りて行くと、長野さんの車が見えた。

こちらに気付くと、爽やかなイケメンスマイルで、車から降りて手を挙げる。

スーツ姿の長野さんも素敵だったが、オフスタイルも思わず見惚れてしまうほど格好いい。

カジュアルなのに、さりげなくオシャレで、イケメンは何を着ても格好いいんだなと思った。

「こんにちは。」

「こんにちは、優香里ちゃん。どうぞ乗って。」

そう言って、助手席のドアを開けてくれる。

「ありがとうございます。失礼します。」

私が乗り込むと、長野さんが静かに助手席のドアを閉めた。

運転席に座るとシートベルトをして、こちらを見る。

「スーツ姿じゃない優香里ちゃんも新鮮だね。可愛いよ。」
そう言って優しく微笑んだ。

!!!!!

普段、こういう扱いを受けたことのない私は固まった。

多分、顔が赤い。ほんのり熱を感じて俯いた。

「ありがとうございます。」
小さな声でそう言った。

この人、無自覚の人タラシだ。
私、今日一日大丈夫かな?









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