長野さんはイケメンさん
結局、長野さんはペペロンチーノ、私はカルボナーラを注文した。

待っている間、長野さんは、お兄ちゃんと同い年の31才で、大学で知り合ったこと、卒業してからも連絡を取り合っていたことなどを話してくれた。

お兄ちゃんと同じ大学ってことは、かなり偏差値高めの、あの有名国立大ってことだよね。
顔良し、頭良し。天は二物をあたえたのね。
なんてことをボンヤリ考えていた。

「優香里ちゃんは、健とは年が離れてるの?」

長野さんの質問にハッとする。
優香里ちゃん!?いきなりの名前呼び。しかもちゃん付けですか?

ビックリしながらも、長野さんが呼ぶといやらしくなく自然で、イケメンは得だなぁ…、なんて思ってしまう。

「はい。5つ離れてます。」

「そっか。それじゃあ小さい頃、喧嘩とかもあんまりしなかったんじゃない?」

「あぁ…、確かに。」

そんな話をしながら、届いたパスタを食べていたら、部屋のチャイムが鳴った。

「あっ、健かな? ゆっくり食べててね。」

長野さんが、そう言って、玄関に歩いて行った。
しばらくしたら戻って来て、

「健だった。部屋に鞄置いたらこっちに来るって。」

直ぐにまたチャイムが鳴り、玄関に迎えに行った長野さんと一緒に、兄がリビングに入って来た。

「慧、すまなかったな。」
と、言った後、

「これ。」
と、超人気洋菓子店のロールケーキの箱を、私に差し出した。
大人気のロールケーキで、並んでも整理券さえなかなか手に入らないそれを、

「優香里、好きだろ。」
と渡してくれる。

「えぇ~!!どうしたのこれ?幻のロールケーキだよ!」

ビックリしながら問いかけると、

「たまたま手に入ったんだ。」
と笑うが、たまたま手に入るようなものではない。

「せっかくだから優香里にと思って。俺、明日から出張で3日間いないんだよ。だから今日中に渡したかったんだ。」

そして、長野さんに向かって
「明日の準備あるから、俺、帰るわ。食べ終わったら、優香里のこと送ってくから連絡して。」
と言う。

それに対して長野さんが、
「明日、朝早いんだろ。優香里ちゃんなら、俺が送るよ。」

と、ビックリするようなことを言う。

「私なら電車で帰るので大丈夫ですよ。」
長野さんに、そう言ってみるが

「「それはダメだ。」」
お兄ちゃんと長野さんの声が重なった。




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