不思議探偵アリス ~切り裂きジャックと赤の女王 ~
帽子屋
それから私たちは切り裂きジャックについての聞き込みを始めた。
しかし多くの人々は切り裂きジャックについてほとんど知らず、全く捜査は進まない。
「なんでみんな切り裂きジャックについて知らないのよ~」
聞き込みに疲れた私たちは公園のベンチに座って休むことにした。
「もうダメ、脚パンパン」
そう言って私は靴を脱いだ。
「切り裂きジャックについて知ってたらジャックはとっくに捕まってるだろ」
「たしかに」
「それか知ってても何か言えない理由があるのかもな」
え?
「言えない理由って?」
「知らねぇよ」
なんでレオンはこんなに無愛想なのよ。
「はぁ......」
ため息しか出ない。
だって聞き込みが進まないんだもん。
なんでみんな教えてくれないのよ。
本当にこの国の人たちは切り裂きジャックについて知らないのだろうか?
それともレオンの言う通り言えない理由が?
あ......
「ねぇ、レオン......」
これを男に言うのはどうかと思うけど......
「なんだよ」
「あ、あの......お手洗いに......」
考え込んでいると突然トイレに行きたくなってしまった。
そういえば学校が終わってから今まで一度もトイレた行っていない。
「はやく行ってこいよ」
「うん」
そう言って私は急いでトイレへと向かった。