不思議探偵アリス ~切り裂きジャックと赤の女王 ~

ちょっ......あっ......

眩しい!眩しすぎる!

そんな素敵な笑顔でこっちを見ないで!

グシャッ

ん?

後ずさりをしていると何かを踏んでしまった。

なんだろう.....

ゆっくりと足元を見る。

「あー!」

すると、そこにあったのは私の足の下敷きになってぺちゃんこになっている帽子だった。

「大変!」

私は急いで帽子を拾い上げた。

しかし帽子はぺちゃんこのまま。

どうしよう!

これってきっとこの人が作ったものだよね?

さっきから迷惑をかけてばかりだ。

「ごめんなさい!」

私はそう言って頭を下げた。

すると

「大丈夫ですよ。また作ればいいんですから」

そう言って男の人は優しく笑った。

本当に申し訳ない。

あれ?

周りを見渡すとさらにたくさんの帽子が転がっていた。

もしかして私を受け止めた時に?

あーもう!

私はなんてことをしてしまったの......

いや、とにかく今は早く拾わないと

帽子を一つ一つ拾い上げる。

すると一つの帽子の上で手が重なった。

「あっ」

私は慌てて手を離し、彼から離れた。

顔が一気に熱くなるのを感じる。

こんなのって.......

「手伝ってくれてありがとうございました」

と突然彼の嬉しそうな声がした。

顔を上げると彼はたくさんの帽子を抱えこちらを見て笑っていた。

なんで......私ばっかり迷惑をかけているのに.....

この人はどこまでいい人なの?

私は彼の目を見れずにいた。

すると突然後ろから

「アリス」

と聞き覚えのある声がした。
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