不思議探偵アリス ~切り裂きジャックと赤の女王 ~
「あーむかつく!」
「しょうがないでしょ、アリスが寝てるから悪いのよ」
「まったく毎日退屈すぎるのよ」
さっきから私の愚痴を聞きながら隣を歩いているのは親友の春香だ。
春香は私と同じ高校2年生。
そして同じクラスだ。
今は学校の帰り道。
部活は2人とも同じ演劇部。
今日は部活も休みなのでさっさと家に帰ることにした。
だって学校にいたって退屈なだけなんだもん
「あ ~素敵な冒険ってのがしてみたい」
「何バカなこと言ってんの」
「きっとそこら辺に転がってるはず......」
「バカ......」
そんな他愛もない会話をしながら歩いていると
「ウサギ?」
そう言って春香が立ち止まった。
「へっ?」
春香は一点を見つめたまま動かない。
な、なに?
春香の視線の先を見るとそこには白いウサギがいた。
「ウ...サギ?」
状況がよくわからない。
私が頭にハテナをうかべていると
「アリス...」
とどこからか私の名前を呼ぶ声がした。
「誰っ?」
急いで周りを見回してみたが誰もいない。
「春香、今私の名前呼んだ?」
「え、呼んでないよ?」
春香は不思議そんな顔をしてこちらを見た。
イタズラじゃなさそうだし......
じゃあ......まさか、あのウサギが......?
私が混乱していると突然白ウサギは学校の方へ走り出した。
「あっ......」
なぜだろう?
ここであのウサギを追いかけなかったら後悔するような気がする。
だから
「春香、私学校に忘れ物したから取りに行ってくるね!」
春香ごめん!
でもすっごく気になるの。
なんだか冒険が始まるようなそんな気がするの
「ちょっと!アリス!」
私は白ウサギの姿を追った。