不思議探偵アリス ~切り裂きジャックと赤の女王 ~
一日3人で聞き込み捜査をしたが十分な情報は得られなかった。
わかったことは
・被害者はすへで同じ学校に通う女学生
・事件が起こるのは必ず霧の深い夜
・殺人現場は街灯の下
・現場にはいつも大きな型の跡がいくつか残っている
・悲鳴は聞こえない
・凶器は刃物
「はあ......一日中捜査してたっていうのに集まったのはこれだけ......」
今日も全く進まなかった。
けれどメアリーが手伝ってくれたおかげで昨日の倍くらいの情報は集まった。
しかしそれでも、有力な情報は無かった。
私はベンチに腰掛け空を見上げた。
「しょうがないよ、みんな不安なんだもの」
メアリーはそう言いながらぼーっと空を眺めている私の隣に座った。
レオンは近くにある木にもたれかかり、眠そうにしている。
すると
「メアリー?」
と女の子の声がした。
見るとそこにはメアリーと同じくらいの年の女の子が立っていた。
「アニー.......」
そう言ってメアリーは立ち上がると少し気まずそうな顔をした。
「この人たちに協力してるって本当?」
と言って女の子は私とレオンのことを睨んだ。
え?
私たち何か悪いことをしてしまったのだろうか?
「この人たちは切り裂きジャック事件について調べているんでしょ?街の人たちが噂してたわ」
と少し強い口調で言った。
メアリーは彼女の言葉に何も言い返さずうつむいている。
「探偵ごっこなんてやめて帰りましょ」
そう言うと女の子はメアリーの手を掴んでどこかへ行こうとした。
しかしメアリーは動こうとしない。
「メアリー!」
と女の子は力強くメアリーを引っ張った。
「アニーは悔しくないの......?」
「え?」
するメアリーはゆっくりと顔を上げた。
「だって友達が何人も殺されてるんだよ、犯人が憎くないの?」
とメアリーはそう言って女の子の目を真っ直ぐに見た。
そんな彼女の視線に女の子は
「に、憎いわよ......」
そう言って目をそらした。
メアリーは自分の腕を掴んでいる彼女の手を離し、握り直した。
「アニー、この人たちなら切り裂きジャックを見つけてくれる気がするのよ」
とメアリーは私たちの方を見た。
「でも、危険よ......」
そう言って女の子うつむいた。
「それでも私はやりたいの」
メアリーは再び女の子に目を向けた。
「メアリー......」
女の子は彼女の言葉にゆっくりと顔を上げた。