不思議探偵アリス ~切り裂きジャックと赤の女王 ~
振り返ると、そこには心配そうに私を見つめている帽子屋さんの姿があった。
「帽子屋さん......」
そう私が呟くと突然、帽子屋さんは私の腕を掴みそっと引き寄せた。
あっ.......
「もう大丈夫」
優しい彼の声。
気がつくと私は彼の腕に包まれていた。
一気に緊張が解け、涙が頬を伝っていくのがわかった。
彼は私の頬を伝っていく涙をそっと指で拭ってくれた。
「もう泣かないで」
そう言って彼は優しく微笑んだ。
私はそんな彼の言葉にこたえるため、急いで涙を拭い
「ありがとうございます」
そう言って彼に笑顔を向けた。
すると
「よかった」
と言って彼も笑った。
2人で笑い合う。
その時間は夜の街の寒さなんて感じないくらいとても温かく優しかった。