不思議探偵アリス ~切り裂きジャックと赤の女王 ~

どれくらい経ったのだろうか。

突然、「何してる」と鋭い声がした。

声のした方を見ると、レオンが険しい顔で私たちのことを睨んでいた。

「あっ......」

私は急いで帽子屋さんから離れ、何事もなかったかのような顔をした。

しかしレオンは険しい顔をしたままだ。

こんなところを見られてしまったなんて.......

レオンは私と帽子屋さんの間に入ると

「帽子屋、アリスに何をした」

と言って腰にかかっている剣に手をかけた。

「違うのレオン!これは......」

このままじゃ取り返しのつかないことになる!

私は2人の間に入ろうとした。

すると帽子屋さんはそんな私に大丈夫といったような顔をして

「こんな夜に一人で怯えている女の子を放っておけますか?」

そう冷静に、剣に手をかけているレオンに尋ねた。

「何?」

レオンはイラついたように言うと、剣から手を離した。

よかった......

しかし、レオンの顔はさっきより険しい顔になっていた。

「次にこんなことがあったら僕がアリスさんを守りますから」

そう言って帽子屋さんは 私を引き寄せた。

えっ?

レオンは一瞬驚いたような顔をしたが

「いや、それはない」

と言ってレオンは帽子屋さんを睨むと、私の腕を掴んだ。

「いくぞ」

「まっ......」

待って。そう言おうとした。

けれどレオンは私の腕を掴んだままどんどん歩いてく。

お礼、また言えなかった。

『僕がアリスさんを守りますから』

さっきの帽子屋さんの言葉を思い出し、顔が熱くなる。

また会いたい。
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