不思議探偵アリス ~切り裂きジャックと赤の女王 ~
「ハア...ハア...」
私は校門のところまで走って来た。
しかしウサギの姿はない。
どこへ行っちゃったのかな......
とにかく教室に行ってみよう、と一歩踏み出した時だった。
あれ?足がつかな.......
見るとそこには大きく深い穴が空いていた。
底が見えないくらい真っ暗で下は全く見えない。
「えっ」
その瞬間、私は穴の中に吸い込まれた。
すごい速さで落ちていく。
「うそ ぉぉぉおお!?」
こんな速さで地面にぶつかったらひとたまりもない!
私は必死にもがいた。
しかしスピードが落ちることもなくどんどん吸い込まれていく。
もう無駄だ......
私の一生は終わったんだ......と覚悟を決め目を閉じた。
ああ......いい人生だっ......
「いった!」
いきなり何か硬いもので頭をぶつけた。
「つ、机?」
なんでこんなところに机が......
っていうか痛いんだけど!もう!
周りをよく見ると椅子や本などいろいろな家具や物が宙に浮かんでいる。
あれ?
気がつくと落ちる速さがゆっくりになっていた。
周りの景色かまどんどん変わっていく。
すると目の前に突然壁が現れた。
なんだか今までとは違う空間だ。
ん?
落ちるのが止まった。
「えっ、な、何?」
どうしたんだろう......
ドスンッ!
とお尻から勢いよく地面に叩きつけられた。
「いった!」
お尻に激痛が走る。
「なんなのよ、もう!」
お尻がヒリヒリする......
幸い高いところから落ちたわけではなかったため怪我をせずにすんだ。
しかしここはどこだろうか。
私はお尻をさすりながら立ちあがるとゆっくりと周りを見回した。
なんなのよこの部屋......
見ると部屋の壁には大きさや形がバラバラの鏡が並んでいる。
そんな鏡に映る自分は全部ヘンテコ姿だった。
「あれ?」
急いで1つの鏡の前に駆け寄る。
その鏡に映っていたのは、他の鏡とは違う、まるで探偵のような服を着た私だった。
さっきまで制服だったはずなんだけど......おかしいなぁ......
そう思い自分を見ると本当に私は探偵の格好をしていた。