不思議探偵アリス ~切り裂きジャックと赤の女王 ~
「可愛い!こういうの着てみたかったの!」
私は一周ぐるっと回ってみた。
ああ女の子って感じ ~
テンション上がる!
と私がはしゃいでいると胸元で何か光った。
あれ?なんだろう?
これは......ロケット?
それは不思議な形をしたロケットだった。
なんの形だろう?これは......動物?
中には何が入っているのかな?
「開けても大丈夫だよね...」
私はそのロケットを開けようとした。
しかしロケットは錆びているようでとても硬く開けることができない。
「もう、これ壊れてるじゃない」
そう言ってロケットを首から外そうとした時だった。
「アリス、今のお前にはそのロケットは開けない」
と後ろから男の人の声がした。
え、今度は何?
急いで振り返る。
とそこにいたのはなぜか探偵の助手の格好をしたイケメンだった。
かっこいい人......こんなに顔が整ってる人初めて見た......
と私が見とれていると
「いつまで突っ立ってんだ、いくぞ」
そう私に命令口調で言うと歩き出した。
「ちょっどこに行くの?」
急いで後を追う。
「さあな」
「なんで私の名前を知ってるの?」
「さあな」
この人私の質問をすべて「さあな」で返してくる
まったくイケメンなのは顔だけじゃない
なんだか嫌な感じ
なんて私が心の中で文句を言っていると、いきなり彼の足が止まった。
「な、なに?」
彼にぶつかりそうになったが一歩手前で立ち止まることができた。
いきなり止まったら危ないじゃないの!
「ちょっと......」
と文句を言おうと彼の横に出た時だった。
「えっ」
私は目の前に大きな扉があることに気がついた。
だからこの人は立ち止まったのか......
なんだか不気味な扉だ。
まるでロダンの地獄の門みたいだ。
なんだかこの先には行きたくない、そう思った。
けれど彼はゆっくりとその扉を開けると中に入って行ってしまった。
「まって!」
私は慌てて扉の中に飛び込んだ。
バタンッ
扉の勢いよく閉まる音がするといきなり暗闇に包まれた。
真っ暗な空間。
ただうっすらと道があるのが見えた。
男はトンネルのようになった道をどんどん歩いていく。
私も置いて行かれないように彼の後ろを一生懸命に歩いた。
「疲れた......」
どのくらい歩いたのだろう。
足が痛くなってきて、だんだん意識がもうろうとし始めた。
こんなに暗い中を長い間歩き続けていたからだろう。
すると前の方に小さな光が見えた。
出口だ。
よかった......
やっとこの暗い場所から出られた。
私は出口を抜けると床に座り込んだ。
そこは新しい部屋だった。
今度は大きさや形の違う扉がたくさんある。
「今度はどこ?」
そう彼にたずねると
「さあな」
と簡単に流されてしまった。
「さっきから、『さあな』しか言ってないじゃない」
「ああ」
もう!なんなのよ!
この人って会話ができないわけ?ってもしかして外国人?
言われてみるとぽい顔に見えなくもないなあ
「なんだよ」
あ、やっぱり日本人だ。
というか目が合ってしまった。
急いで目をそらし遠くを見る。
だって私がこの人のこと気にしてるみたいに思われたくないし。
にしてもこの人は愛想がない。
一体この人は何者なんだろう?
「あなた名前は?」
ひまだし、それにずっと黙ってるのも気まずいから名前ぐらい聞いてもいいよね?
でも聞いたって返してくれるとは思えないけど......
「レオン......」
「えっ?」
思わず聞き返してしまった。
「お前から聞いてきたんだろ」
「え、あ、答えてくれると思わなかったから......」
「は?」
「あ、ごめん」
こわっ
睨まれてしまった。
というかずっとこっちを睨んでる!?
これは何かあったほうがいいのやつ?
え、あ......
「あのさ」
「あ?」
ひぃっ、すごい目力。
「なんで私の名前、知ってたの?」
そう。
さっき彼は私の名前を呼んだ。
会ったこともないのに......
「お前、覚えてないのか?」
「へ?」
「いや、なんでもない」
しかし彼は少し悲しそうな顔をしてごまかした。
なんだろう?