Past and Present ~時を超えてあなたを愛する ~
結局、私は悩んだ末、マンションに男を入れることにした。
なんに考えてるのよ私......
もし、この人が不審者だったらどうするのよ?
襲われたりしたら?
お金を盗まれたりするこもあるかもしれないのに......
でも今更、出ていけなんて言えないしなぁ
部屋の玄関で私が考え込んでいると、いつの間にか男の姿がなくなっていた。
「ちょっ、どこに行ったのよ!」
急いで家の中に入る。
リビングルームにつながる廊下を走って行く。
と床を見ると何やら足跡が.......ってもしかして!
リビングのドアを開けると、そこには靴を履いたまま、絨毯に乗っている男の姿があった。
「あー!」
慌てて男を玄関に連れ出す。
「い、痛い!離せっ」
もう!
「いいですか!ここは靴で入っちゃいけないんです!玄関で脱ぐのが普通でしょ!」
と男に靴を脱ぐように言った。
男は「なぜ脱ぐのだ」と不満げに言ったが、脱がないと出て行ってもらうと言うと、男は渋々靴を脱ぎ始めた。
やっと脱ぎ始めた.......って臭っ!
靴からは土と汗の匂い。
最悪だ。
それにしても変な形の靴だ。
と私が靴を見ていると、男は汚い服のまま家に上がろうとしていた。
「ちょっと!そんな汚い格好で部屋に上がらないでください!シャワー浴びてから入るように!」
男を強引にお風呂に連れて行き、入るように促した。
男は再び不満げにな顔をしたが今度は「わかった」と服を脱ぎ始めた。
「なっ、私が出てから服を脱いで下さい!」
私は急いで脱衣所の外に出た。
ったくこの人は何なのよ......
あ、服。
私はクローゼットから、元彼の服を取り出し脱衣所に置いた。
ていうか私、なんで元彼の服なんて持ってるのよ......
「げっ」
廊下の床を見ると汚い足跡がついていた。
その足跡はリビングの中まで続いている。
「はぁ.....」
水拭きをしながら私は心の中で「やはりあげるんじゃなかった」と後悔していた。