ガラスの境界、丘の向こう
 眞奈の心を動かす魅惑的な窓は、眞奈が通うウィストウハウス・スクールにもたくさんあった。

 学校の校舎は、かつて由緒あるイギリス貴族のお屋敷だったウィストウハウスが利用されていた。

 お屋敷は学校向けにさまざまな改築が行われたものの、できるだけ元の造りが活かされ、特に『外観』は当時のまま残された。

 窓もそのうちの一つである。

建物正面、一階と二階は縦長の白い窓が澄ましたように整然と並んでいたし、三階は小ぶりで愛らしい窓がはめ込まれていた。

 いくつかの階段には階段窓、一階の裏手には大きなフランス窓、ステイブルブロックには重厚なはめ込み式の窓もあった。

眞奈はそんなウィストウハウスの窓たちを見るのが好きだった。

 そして同級生のマーカス・ウェントワースはいつも窓のそばにいた。

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