ガラスの境界、丘の向こう
「ねぇ、『独創的なアイデア』って、それって皮肉? 私が子どもっぽくてバカだってこと言いたいの?」

「お、言語コミュニケーション能力がレベルアップしたじゃんか。よかったなぁ」、ウィルは感じ悪く笑った。

「もう、これだからイギリス人は。もっと簡単な表現で言ってよ! 褒めてんだか皮肉なんだかはっきりしないじゃない」、眞奈はむくれた。

 確かにウィルの言うとおり、『窓の魔法使い』なんて信じているのは子どもっぽくてバカみたいだ、それくらい眞奈にだってわかる。

でも、魔法使いを信じることは『幼稚で愚かなこと』という定義は、東京や大阪、ロンドンといった無骨で気の利かない都会における定義だ。

 眞奈たちの今いるここ、美しいイギリスのカントリーサイドであるウィストウ村では、魔法使いや妖精こそが真実なはず。

 ウィストウ村では山や川、風と同じように『窓』にも精霊が宿っている、そして魔法の力を持っている……、眞奈はそう強く感じていた。

 どうして、ウィルや他の人には感じないんだろう。
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