もっと。もっと。好き。
1時間目
夏から秋のゆっくりとした時間。
暑くもなく、寒くもなく。
そんな瞬間(とき)が1番好き。
昨日開けた段ボール箱から取り出した、いつもの洋服に身を包んで、せっかくだから・・とお母さんが新調してくれた靴を履いて。
なぜか、誰よりも風を切って走っている私。
(転校初日から遅刻はマズい。)
こんな時にいつも一緒にいるお姉ちゃんは先に行っちゃうし。
「うぅ~っっ」
半分泣きべそをかきながら全速力で駆け抜ける。
ずりっ
「あっ!」
靴が落ち葉を踏んで滑る。もののみごとにずっこける。
「っ···痛ぃ」
恥ずかしさと痛さとで顔を上げるのがしんどい。
「ださっ」
耳に聞こえたちょっと甲高い声。
「っ····」
痛いのと恥ずかしいのとで、みるみる顔に血液が集中するのがわかる。
涙が目頭に溜まり始める。
こんなことで泣いたらバカにされる。
声のした方から顔を隠すように立ち上がろうとしたとき。
すっと幾分小さな手が伸びてきて、私の腕をぐいっと掴んで立つのを助けてくれる。
(あっ····)
おずおずと顔を上げると、凄く綺麗な瞳をした男の子。
お礼は、口の中でもごもごと消えてしまう。
暑くもなく、寒くもなく。
そんな瞬間(とき)が1番好き。
昨日開けた段ボール箱から取り出した、いつもの洋服に身を包んで、せっかくだから・・とお母さんが新調してくれた靴を履いて。
なぜか、誰よりも風を切って走っている私。
(転校初日から遅刻はマズい。)
こんな時にいつも一緒にいるお姉ちゃんは先に行っちゃうし。
「うぅ~っっ」
半分泣きべそをかきながら全速力で駆け抜ける。
ずりっ
「あっ!」
靴が落ち葉を踏んで滑る。もののみごとにずっこける。
「っ···痛ぃ」
恥ずかしさと痛さとで顔を上げるのがしんどい。
「ださっ」
耳に聞こえたちょっと甲高い声。
「っ····」
痛いのと恥ずかしいのとで、みるみる顔に血液が集中するのがわかる。
涙が目頭に溜まり始める。
こんなことで泣いたらバカにされる。
声のした方から顔を隠すように立ち上がろうとしたとき。
すっと幾分小さな手が伸びてきて、私の腕をぐいっと掴んで立つのを助けてくれる。
(あっ····)
おずおずと顔を上げると、凄く綺麗な瞳をした男の子。
お礼は、口の中でもごもごと消えてしまう。
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