夢の焼け跡
箸も疎かに、思わず明日香に見入ってしまった。
パッ
と明日香が顔を上げ、いきなり目が合う。

「…人の顔、なにジロジロ見てんのよ。」

ギロリと睨み付ける明日香の視線が痛い。

「あ、いや、別に。」

「人がせっかく作ったんだからさっさと食えよっ!」

箸で裕也を差し
男勝りの巻き舌で言い放つ。



…前言撤回…。

一瞬でも明日香を可愛らしい女の子と感動した自分に腹がたつ。


二人とも朝食を済ませると明日香は裕也の分の食器もサッと片し、洗い出した。

「あ、ありがとう。」

「泊めてもらってんだもん。
せめてものお礼しないとね。」


言動や行動は少し(いや、かなりか?)奇抜だが、明日香は結構義理堅い様だ。


食器を荒い終わり
手を拭きながら椅子に腰掛た明日香。


「裕也ってさぁ、大学生?」

「うん。」

「だと思った。」

「どうして?」

「親のスネかじってそう。」

イタズラな笑顔を浮かべる明日香。

「おいっ」

苦笑いをする裕也。事実なだけに笑えない冗談。
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