夢の焼け跡
正直
明日香に軽蔑すら抱いた。

「とりあえず…
いつまでもそんな生活してる訳にいかないでしょう?
親御さんも心配してるだろうし…」

「心配なんかしてねーよっ!」


突然裕也の言葉を遮る明日香。

「裕也くん、君ってさ、大学生かなんか?
こんな良い家に住んで…
お家はそこそこお金持ちでしょう?

親の愛に守られてスクスク育った?

心配なんかしない親だっているんだよ。

自分の物差しでモノ言うな。」

皮肉めいた笑みを浮かべ明日香が言い放つ。


なんだか侮辱された様な気持ちになり
ムッとしたが言い返しても仕方ない…。
そう思い直し立ち上がりクローゼットからブランケットを取り出し

「もう夜遅いし
俺はソファに寝るから明日香ちゃんはベッドで寝な。」

そう言うと明日香はムクッと立ち上がり無言のままベッドルームへ入っていった。


電気を消し
ソファに寝転がって深くため息をつく。

売春まがいな事に
家出
無職…
そしてあの態度…。

とんでもない非行少女を連れ帰ってしまったものだと先立たぬ後悔を恨めしく感じた。


ふと脳裏にちらつく
Tシャツの下から露わになった
明日香の白い肌。


なに想像してんだっ!


ペチッと軽く自分の頬を叩き
煩悩を打ち消す。


いくら正義感の強い裕也とはいえ
健全な成人男性。

なにも感じない訳ではない。
気持ちが全く揺らがなかったかと言えば嘘になる。

でもこんな形で明日香を抱いてもきっと虚しさが残るだけ。



とてもじゃないけどそんな事する気にもなれなかった。
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