夢の焼け跡
海
トントンと包丁がまな板を打つ音。
鼻と空腹を刺激する良い香り。
「…ん…」
眠りから覚めると
ぼやけた視界の中…
キッチンに立つ人影。
目を凝らしてみると
そこには明日香がいた。
起き上がった裕也に気付く。
「おはよ。
勝手にお台所借りちゃった。」
「…全然かまわないよ。」
可愛い女の子が
自分の家のキッチンで料理をする…。
前の彼女と別れてから半年間…
昨日まで女っ気ゼロだった裕也にとって、その光景に違和感を感じずにはいられない。
手際よく料理を続ける明日香。
その姿は裕也にとって意外であった。
部屋中に
あっという間にお味噌汁の良い匂いが広がった。
「出来たよ。」
テーブルに料理を並べる明日香。