戦闘学園〜特別魔導師養成学校〜
部屋の中には2段ベッドが1つと、勉強用の机が1つずつ。
あとは小さなソファーとテーブルが2つずつ。
物が少なくて殺風景だけど、2つあるうちの1つの机はピンク色の小物がたくさん置いてあった。
多分あれはナナのもの。
見た目もだけど、集める小物も可愛いなぁ。
「リリアン、ベッドは上がいい?下がいい?」
「うーん...じゃあ下で。あたし寝相悪いから...」
「ふふ。わかった」
自分の荷物を上のベッドに押し込んだナナは、ソファーにストンと腰を下ろした。
テーブルの上のグラスに手をかざすと、どこからか水が湧いて、透明なグラスを満たした。
水属性...。
あたしのお母さんと同じだ。
と思っていたら。
ナナはさらにグラスに手をかざし続け、ついに水はその色を変え始めた。
水特有の透明さから、青、緑、黄色、オレンジとうねるように変わっていったあと、それら全部が降り混ざった虹のような色に落ち着いた。
それをグイッと飲み干し、あたしにも差し出してきた。
「リリアン、どう?疲れたでしょ?
私が作った特製レインボージュースよ」
「あ、ありがとう」
グラスを受け取ると、水面が綺麗に光を反射しながら揺れた。
ひと口飲むと......美味しい。
「え、美味しい!すごい!!」
「でしょっ?3年かけてレシピを完成させたんだから」
「自分で考えたの?」
「もちろん。水に含まれる成分を変化させて、味を変える方法を見つけたわ。すごく苦労したけどね」
そんなことも出来るんだ。
ゼンといい、ナナといい、上手く魔法を活用してるんだなぁ。
お母さんが水を水以外で使ってるのを見たことないよ。