戦闘学園〜特別魔導師養成学校〜
バチバチバチッッ!!!!
2人の前に突然水の壁が現れ、全ての攻撃が消えた。
透明で、ゆらゆら揺れる水の塊にいとも簡単に吸い込まれ、その効力を失っていく。
次の瞬間、ゼンの腕から草のつるが勢いよく伸び、水の壁を破裂させた。
大きな水の塊が前方に飛び散る。
「きゃああっ!!」
「うわっ!?」
それを身体に受けたヒーロー組の生徒たちのライフが一気に減ってしまった。
よく見ると、その水は方々に電気を帯びている。
あれは、水と雷を合体させたもの...?
でも、ゼンは水属性だけど、雷属性ではなかったはず。
じゃあどうしてそんなものが作れるのか。
答えはひとつ。
「...どう?僕たちの、合成魔法の威力」
ライトが右手を水に濡らしながら、無邪気に笑う。
固まる両チームのみんな。
あたしだって固まって動けない。
合成魔法とは、異なる属性の魔法を組み合わせ、新しい種類の属性を生み出す魔法だ。
例えばこの2人のように、雷と水を組み合わせて電気を帯びた水を作ったり。
水と炎を合成して熱湯を作ったり。
炎と風を合成してさらに強力なものにしたり。
合成魔法を使うと、単体よりも威力が格段に上がる。
でも、難易度が高すぎて、あたしたちみたいな新入生がとても扱えるものじゃない...。
魔力のバランスが命で、どちらか一方の魔力が強くても弱くてもいけないから。
バランスが崩れた瞬間、魔力が逆流して大きなダメージを受ける。
下手したら命に関わる危険な技だ。
だから普通の人は使わないし、使うとしてもバイタレントが1人で2つの属性を組み合わせるだけ。
それなのに、ゼンとライトは、2人で1つずつ属性を共有し合って合成魔法を完璧にこなした。
この2人...伊達に仲がいいわけじゃないんだ。