戦闘学園〜特別魔導師養成学校〜
疑いの眼差しで見ていると、ゼンがライトのそばに寄って行って、肩に手を置いた。
「ライト、お前よく手加減したな。偉い」
「いくら僕でも入学したての学校を退学になんかなりたくないからね」
「内心そうなりかねないと思ってたよ。
でも威力を半減してくれて良かった、お疲れ」
「本当に疲れたよ。
調整するのって普通にやるより神経使うもん」
...え!?
今のでかなり手加減してたの!?
ってことは...本気でやってたらこのスタジアムなんて吹っ飛んじゃうんじゃ?
こ、怖っ...。
「ていうか、ゼン。
僕だってちゃんと我慢して手加減したんだから、ゼンも手加減しなよ?
僕にはそうしろって言うくせに、ゼンはいつも半分本気でやるじゃん」
「俺だって最初はそのつもりなんだけどな。
苛めたくなって、つい手が出ちゃうんだよ」
「生死に関わるからやめてよ」
...ん?
ゼンさん、今、何て言いました?
苛めたくなって手が出るだなんて...
ガチドSですか!?
怖い、本当に怖いよ、この二人!!
頬をひきつらせながら彼ら2人から目線を外すと、イアンの姿が目に入った。
スタジアムの壁に寄りかかりながら、分厚い本を読んでいる。
...あれ?
イアンってあの眠そうな男子と戦うんじゃなかったっけ?
でもその子が見当たらない。
もしかして、相手が逃げたのかな?
...なんて思っていると。
「あれ?もしかしてゼンたち、終わった?」
「当たり前だろ」
「...手加減した?」
「初級レベルの魔法しか使わなかったよ」
そんな会話が聞こえてきてびっくり仰天。
イアンもゼンも、もう終わってたなんて!!
イアン...
おっしゃっていた通り、早く終わらせて一抜けしましたね...。