教えて、空の色を
その…上司は結婚したはずなのに
最近奥さんと上手く行かなくなりだしたのか

たまたまこの店に来て紗由理と再会し……

もう何年も前の事を蒸し返しながら
また紗由理に付きまといを始めたらしく

何度もここに通い

とうとう、先程閉店間際のこの店に来て乱暴しようとしたらしく

必死で抵抗して店をロックしてオレを呼んだと言うわけだ……

「兄貴はどうしたんだよ…」

「お義姉さんが出産で…お昼すぎにお義姉さん実家の県外に行ったの……だから……なんとか追い出したんだけど、1人じゃ怖くて……ごめんなさい…」

俯いた紗由理に優しい……自分でも気持ちわりぃ位
優しい声が出た

「…いや、オレを思い出してくれて良かった…」

まだ震えてる紗由理の頬をそっと撫でた

ピクッとそれに反応した紗由理の少しだけ青ざめた顔を見ていたら…愛おしくて

可愛らしい唇…そこにゆっくりと

引き寄せられるように

自分のソレを重ねた

「ん………」

紗由理が小さく声を漏らすから…そのまま頭を撫でて
離れた

「紗由理……オレのモンになっちゃえよ」

「……何を…」

「そんなやつから守ってやりたいって…柄にもなく、んだ?思った……か、ら?」

オレは何を言ってるんだ?

「……ほんとに?それは単なる同情じゃないの?」

不安そうに揺れる瞳

そんな心配すんなよ……

「あぁ…それ、違う
好きでもない女の心配なんてしない」

気が付いたらそう口走っていた

「河野さん……私が好き?…なの?」

「んだね、紗由理が好き、みたいだな」

なんつー色気の無い告白だとは思ったけど

紗由理は嬉しそうに笑ってくれた

だから…

「好きだよ、紗由理…」

今度はちゃんと真っすぐに伝えた

君に届くといいんだけど……

そしたら

「私は会った時から好きです、河野さん…」

なんて、可愛らしい笑顔をむけてくるから


まあ、ね?その後は

たっぷりキスして……ねぇ?




……なんて、甘くはなかったんだよなぁ

実は………




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