教えて、空の色を
メールをみた紗由理がため息をついて窓を閉めた

これで来るだろうと思ったのに

紗由理は出てこなくて…

…代わりにアキラくんに話しかけられた

「あれ?岳さん?こんなとこで何してるんですか?」

「ああ…アキラくん…お疲れ様」

スーツ姿のアキラくんはどうやら仕事帰りらしい
ピリピリッとスマートフォンがなりだしてどうやらメールか何かの着信らしい

さっと目を通して

「あちゃあ…」

なんて独り言がしたあと

「会う人が今いないらしくて、予定空いちゃいました…岳さん飲みに行きましょう?」

と言われた

ここにこれ以上いてもしかたない

「あー、うん…何も食ってないし…行こうかな」

「はは……僕もですよ…お腹ペコペコ…」

こうして二人で近くの居酒屋に入った



「ああ……生き返る…」

アキラくんがビールをあおりながらぽつりとつぶやいた

「だな……」

沢山走ったし、精神的に疲れて……かなり喉も渇いていた

「で、岳さんは何故あのパン屋の前に?」

少し枝豆を摘んでいたらアキラくんが不思議そうに首を傾げた…

(え?知ってるんだよな?)

「あー、仕事の依頼主なんだよ紗由理が……同級生で、アキラくんが紹介したんだろ?」

「合点がいきました、そっか紗由理…ちゃんとたどり着けたか……紹介しましたけど、その後の事を聞いていなかったので、勝手には言えないじゃないですか…」

アキラくんはニコニコとしていてその真意が読めない時がある

まぁ仕事柄かね?

「んだね、たしかに…」

「良かった…紗由理があんなに執着するのを初めて見たんで……希望が叶うなら良かったです」

「執着?」

ただ、あのオブジェを見ただけだろ?

「自分を押し殺す性格でね……普段ならさっさと引きそうなのに……どうしてもあの作品を作った人じゃなきゃダメだって、かなり探してたんですよ?」

「ふうん……」

嬉しい反面なぜ、オレだったんだろうとも思う

「岳さんは紗由理の目の事は?」

「………目?何の話だ」

オレの反応から…しまったっと言う顔をしたアキラくんだったが

それには気付かないふりをして先を促した


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