教えて、空の色を
みるみるうちに紗由理の大きな目からしずくが流れていく

ぽたぽたと雨が降るように

「なんで泣くんだよ」

堪らなくて抱き寄せて背中に手を回すと紗由理の手が
震えている

「だって・・・あなたと私の生きる世界が違うのに・・・」

「んなもん、他人だって時点で生きる世界って違うだろ?
ものの見方なんて個人個人違うもんだし」

オレの言葉に紗由理が顔を上げて不安なのかこちらを探るように見た

そんな心配しなくったって...受入てやるのに

「とりあえず・・・上がって?」

「あぁ」

ゆっくり抱擁を解いて
さっきは上がれなかった家に通されて2階でソファに座る

不安でつい嫌がる紗由理を膝の上に抱き上げて抱き着いた

「ちょ・・・河野さん、同じ景色が見られないよ?私とだと・・・私には青が見えないの
空はいつも灰色でっ青空を見たことがないの」

ぎゅっと首に巻き付いてきた腕に愛おしさしか生まれない

「だから?」

「え?」

「人と同じ景色を見てるかどうかなんて誰も分かんねーよ
オレが見てる青と他の奴が見てる青が同じだとは誰も証明なんてしないし
現にオレの作る青は誰のものとも違うって自負してる
だから紗由理とオレのそこが違ったって何の問題もねーよ」

他人だって時点で全く同じものを見ている・・・なんてそんなの思い込みでしかない

「河野さん・・・私でいいの?」

「違う、紗由理がいい・・・紗由理が好きだから」

「っな・・・」

真っ赤になった紗由理にさらに畳みかけるように耳元で囁いた

「だから紗由理・・・オレのもんになっちゃえよ」

「私も・・・好き・・・」

そのまま抱き着いてきた紗由理の顎に手を掛けて唇を重ねれば・・・

「んっ・・・」

紅くなった顔が、甘い唇が誘惑する

(んだよ、めちゃめちゃ可愛い・・)

何度も角度を変えて落とすキスがだんだんと深まって

夜の空気に二人の吐息が溶けていく

「オレのもんになる?」

やっと少し体を離して抱き上げると
紗由理が小さく頷いた

そのまま紗由理を一晩堪能したわけで・・・まぁ可愛くてオレが溺れそうになったけど

んなの、見せないよ余裕なフリして抱いたけどね・・

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