絆創膏
金髪
冬休みなのに加え使用人が黙認してくれてるのをいいことに、私は毎日繁華街へ通うようになった。
ササは酔っ払いに絡まれたことがトラウマになってしまったようで、いつも1人で来ている。
ヘアメイクも見よう見まねでまあまあの腕前であると思う。
そんなこんなでここに通って一週間。
だが、あれから1度も見ていない。
もし見つけられたらどうするのかなんて、決めてない。
怖気付いて話しかけられないことも十分にありえる。
それでも良かった。
もう一度見られたら。
そして奥さんも一緒にいてくれていれば、諦めがつくかもしれないというなんとも頼りない可能性にかけていた。
なのに、現れない。
「姉ちゃんひとり?」
「ちょっと話させてよ」
ナンパの交し方も上手くなった。
無視を決め込む。
そうすれば大体の人は…。
「ねえ無視しないでよ」
「ちょっとうるさいです!」
とうとう目を合わせてしまった。
「俺、ナンパじゃないから」
そう言う彼は少しだけ機嫌が悪そうだ。
人を見た目で判断していけないのは小学校の頃から知っているが、金髪がつんつんとセットされ、ジャラジャラとアクセサリーをチラつかせている彼をどう信用しろと言うのだろうか。