〜恋慕〜もしも死んだ愛する人が、生き返ったとしたら



「……酷いわねぇ〜」

「木造だから、火のまわりが早かったみたいよ」

「煙草の不始末が原因らしいわね。でも、犠牲者がいなくて良かったわよね」

「それがね、一人いたらしいのよ。二十代の男性が」

「可哀想に……まだ若いじゃないの」

「なんでもね、自分で飛び込んで行ったらしいのよ」

「え……? 自分で? 命より大切なものでもあったのかしら……」

「変な話しだけどね。その亡くなった男性、ウェディングドレスを抱きしめたまま亡くなってたらしいのよ」

「ウェディングドレス? 何でそんなもの……」

「……どうしてかしらねぇ」

「まぁ、他に燃え広がらないで良かったわよね」

「そうね。うちの旦那にも煙草は気をつけてもらわなきゃ。うちの旦那ったら──」

「────」

「──────」







─完─
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