浮気の定理-Answer-
真由は俺を縛ることなく、することをしたあとはあっさりしていた。


俺が家に帰るのを寂しいと止めることもない。


それは俺にとっても都合が良かったし、後腐れのない彼女を気に入ってもいた。


けれどたまには引き留めてほしいとか、妻に妬いてほしいと思うのは、男の性(さが)だろうか?


今夜もまた彼女をこの部屋に置いて、俺は家へと帰る。


そして彼女はいつものように、私は泊まっていくね?と清清とした顔を見せるのだ。


俺は着替えを済ませた格好で、もう一度ベッドに横たわる彼女の側に近づいていく。


それから汗で張りついた髪の毛を指でそっとよけてから、彼女のおでこに優しく口づけた。


「もぉ……早く帰らなくていいの?」


いつの間にか、自分の手が彼女のふくらみに伸びていたことに気付き、苦笑する。


そしてこんなにも彼女にハマっていることに、俺は少しだけ恐怖した。
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