浮気の定理-Answer-
僕の部屋に清水さんがいるってだけでもドキドキするのに、こんなに近くに顔があるなんて反則だ。


そんなことを思ってるなんて夢にも思わないだろう彼女は、いつの間にか僕の背中を押してリビングの外へと出そうとしてた。


「そんなに咳してるんですから、向こうで寝ててください!

お粥出来たら持っていきますから」


グイグイ押されて、熱のせいで体力のない僕は、されるがままになってしまう。


廊下に追いやられてから、思わず振り向くと、彼女はドアをきっちり閉めたあとだった。


仕方なく僕はのろのろと寝室へと向かう。


薬は、お粥を食べてからのがいいよな?


そんなどうでもいいことを考えながら、ベッドに入った。


熱が上がりきったのか、もう寒けはない。


今度は熱さで朦朧としてくる。


とりあえず布団をかけて横になった。


こうしてる間にも清水さんがお粥を作ってくれてるんだと思うと、一人の時より少しだけほっとしている自分がいた。


誰かがいてくれるって、心地いいもんなんだな……


なんだかすごく安心する。


僕はそのままゆっくりと夢の中へとおちていった。
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