浮気の定理-Answer-
何やってんだ、僕は!


「ご、ごめん!」


どう謝っていいかもわからなくて、とりあえずそれだけを口にした。


傷ついたような顔は、こんなことされたのだから、当然なわけで……


「ほんとにすみません

あの……こんなつもりじゃなくて……

夢だと勘違いしてました……ゴホッゴホッゴホッゴホッ……」


慌てたせいか、また咳が止まらなくなる。


それに……


夢だと思ったなんて、言い訳にもならない。


「とりあえず着替えましょうか?替えのパジャマってありますか?」


項垂れる僕をよそに。唐突に彼女がそう言った。

まるでさっきのことなんかなかったかのように……


「あそこの……引き出しに入ってます……すみません……」


クローゼットの方に視線を移してそう言うと、彼女は納得したように立ち上がった。


クローゼットを開けてゴソゴソと引き出しの中を探してるのが見える。


戻ってきた彼女の手には、パジャマと下着とタオルが握られていた。


下着を手にしてるのを見て、慌ててそれを受けとる。

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