浮気の定理-Answer-
誰もいなくなった部屋に一人、着替えを握らされた状態で固まる僕。


横を見ればベッドサイドテーブルに置かれたお粥。


もしかしたら、やっぱり全部夢だったんじゃないかと思ったけれど、それらが確かに彼女がいたことを物語っていた。


気づけばグッショリとかいていた汗が、今はもう引いている。


血の気が引くとはこのことかもしれない。


僕は、何をした?


心配して見舞ってくれた彼女を、無理矢理部屋に引き入れ、お粥まで作らせて……


挙げ句の果てに……キス……


動揺した僕とは反対に、大人な対応をした彼女。


職場での立場を考えれば、当然だ。


ひっぱたかれて怒声を浴びせられても仕方ない行為だったのに……


だけど、まだ残ってる。


この唇に触れた熱が……


柔らかで甘い彼女の唇の感触が……


後悔はしていた。


もう彼女と連絡がとれなくなるかもしれないと思ったから。


だけど、もう一度触れたいと思ってる自分もいて……


そんな自分に戸惑った。


今まで、気に入ってるパートさんだとは自覚していたものの、恋愛感情はないと信じてた。
< 116 / 350 >

この作品をシェア

pagetop