浮気の定理-Answer-
彼女の中に自身を深く沈めた時、僕はこの上なく幸せだった。


僕を感じて受け止める彼女が、狂おしいくらいに愛しくて……


同時に自分の中に邪な考えが渦巻いていく。


その欲望は理性をも侵し、ようやく我に返った時にはもう……


彼女の中で果てた後だった。


「……ごめん」


そう謝ったけれど、本当の気持ちはそうじゃなかった。


子供が出来たら自分のものになるんじゃないかという、浅はかな感情。


その結果、僕は彼女を失った。


触れることはおろか、目にすることさえ許されなくなったのだ。


顔色の悪い彼女の真意に気づく前に、彼女は僕の前から姿を消した。


それがどんな意味をなすのか、僕は全く気づいていなかった。


LINEしても電話をしても、拒否されて途方に暮れる。


そこで初めて僕は、自分のしたことの無責任さを痛感した。


彼女を愛してるなら、彼女を困らせるようなことはしちゃいけなかったんだ……


もし、子供が出来ていたとしたって、彼女の性格なら僕には絶対に言わないだろう。

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