浮気の定理-Answer-
「私、ここで働き始めてから、3年間……ずっと店長を見てきました
店長……すごく頑張ってるのに、奥さん一度も店に来ないじゃないですか!
普通は、自分も手伝ったりして夫を支えるのが奥さんの仕事でしょ?
なのに……今、店が大変なこと、私だってなんとなく気付いてるのに……
従業員を雇うのだって苦しいんじゃないんですか?
店長がもし奥さんに伝えてなかったとしても、一緒に生活してればそのくらいわかるはずです!
私なら……私ならこんなときこそ店長を支えたいって思うのに……
納得できないんです!そんな奥さん、いても意味ないじゃないですか!」
涙を流しながら一気にそう捲し立てる紗英。
そうじゃないんだと言い訳をしようとしたのに、言葉が出てこない。
紗英の言うことは、確かに間違ってはいなくて、店の売り上げは近くに同じイタリアンの店が出来た一年前から、かなり逼迫している。
本当なら、桃子に手伝ってほしいと思ってた。
だけど、彼女は彼女で仕事を持っていて、しかもかなり重要なポストについている。