浮気の定理-Answer-
正直、店が終わったあとの紗英との逢瀬で、疲れているのは確かだ。


もちろん、紗英の部屋を訪れるのは、一週間に一度くらいだけれど、閉店後に紗英と過ごすのは、いつの間にか日課になっていた。


もともと桃子の帰りも遅かったことから、あまり気にもしていかなかったけれど、毎日ともなるとやはり疑問に思うらしい。


今、桃子からの財源を失うのは惜しかった。


だから怪しまれないために三日に一度は彼女を抱いている。


紗英の部屋に行くのを一週間に一度にしているのも、そのせいもあるのだ。


さすがに、週に三日以上ともなると、体がもたない。




「いいよ?どっか行きたいとこあるの?」




新聞をバサッとたたんでテーブルの上に置きながら、そう聞いてみる。


疑われないように、努めて優しく。




「水族館とかはどう?」




内心、人混みに出掛けるのは気が重かったけれど、これも疑われないためのサービスだと思えば腰も軽くなる。




「いいよ、じゃあ支度してくる」




ソファーから立ち上がり、寝室のクローゼットへ向かう。

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