浮気の定理-Answer-
「あぁ、たまには昼間から会うのもいいだろ?」




今まで、当然のことながら店以外は夜しか会うことが出来なかった。


だから昼にプライベートで会えるってことは、紗英にとって特別なんだろう。




「ほんとですか!?

嬉しい……店長ぉ、早く来てくださいね?

待ってますから」




「すぐ行くから、いい子で待ってろよ?」




そう言って俺は電話を切った。


紗英は可愛い。


俺に絶対的な信頼を寄せているし、俺がいなきゃダメだと思わせてくれる。


こういう素直で無邪気なところも愛しいと思う部分だった。


たまにはどこかに連れていってやろうか?


昼間のデートはもっと喜ぶかもしれない。


そんなことを考えながら車を走らせ、紗英のもとへと急ぐ。


そして紗英の夜の顔を思い出しながら、今日はどんな風に彼女を悦ばせようかと妄想して、にやついてる自分に気づいた。


桃子のようにこれから体を開いていけば、紗英もどんどん熟すだろう。


そう思うと、急に下半身が熱くなるのを感じた。



――俺もまだまだ若いな?



そんな風にほくそ笑みながら、俺はもうすっかりしゃがみこんだまま泣いていた桃子の後ろ姿を、思い出すことはなかった。

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