浮気の定理-Answer-

それから程なくして、水落から報告のメールが届いた。


任務は完了したとだけ書かれた簡素な内容だったけれど、桃子の様子を見れば、それが嘘でないことはわかる。


画像は上手く撮れたのか?と返信すれば、水落からもすぐに、抜かりはないと返事がきた。


水落にはその画像を使って脅せと命令してある。


実際、そこまでしなくても、桃子はもう充分に打撃を受けていた。


けれど、やはりまだあれでは足りないのではないかと、不安が頭をよぎる。


脅しに屈して本当に水落のものになってしまえば、離婚はしやすいのではないかと思えた。


今思えば、それが仇になったとしか言いようもないのだけれど……




あの男に借金があることは、事前に調べがついていた。


たった30万ぽっちではあったけれど、利息を返していくので精一杯なようだった。


桃子を好きにしていいと言ったとき、正直すぐにでも食い付いてくると思っていた。


けれど水落は剣呑な様子で俺を警戒し、断るそぶりを見せたのだ。


だから金も払うと提案した。


正直、それは最終手段で、使いたくはなかったのだけれど……

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