浮気の定理-Answer-
驚いたことに、水落は金の方にうまく転んだ。


桃子よりも金に魅力を感じたってことかと、少しだけ複雑な気持ちになったけれど仕方ない。


水落以外に、この話を持ちかけられる男はそうそういない。


ヤツはうってつけなのだ。


極力金は出したくなかったが、水落がそれで落ちるなら、慰謝料を払うことを考えれば安いものだろう。


口座に金を支払うから番号を教えてくれともう一度返信すると、水落は待ってましたというようにすぐに口座番号を送りつけてきた。


最後にメールとアドレスは全て消去するよう念を押して、水落との連絡は絶った。


そしてそのあとすぐに、桃子の様子にも変化が現れる。


あまり一緒にいる時間を作らないようにしていたのもあるが、何ヵ月か経った頃、今までそんなことはしたこともなかったのに、桃子は自ら俺のベッドに潜り込んできた。


壁側を向いて寝ていた俺の背中にそっと寄り添うようにピッタリと自分の体を押し付けてくる。


以前は何度も触れたことのあるふくらみを背中越しに感じて、少しだけ理性が揺らいだ。

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