浮気の定理-Answer-
そうして少しずつ離婚の準備をするつもりだった。
紗英はまだ若い。
だから結婚を焦る必要もないだろうと思っていたからだ。
それが崩れたのはそれから半年後のことだった。
桃子が水落に抱かれたあの日から、ちょうど一年が経っていた。
いつものように紗英の部屋で寛いでいた時のことだ。
三階建ての二階の角部屋にある紗英の部屋は、こじんまりとしているものの若い女の子らしく清潔で可愛らしい。
カーテンやラグなどはピンクで統一されていて、白い壁によく映えていた。
ベッドカバーもピンク地に白のレースがあしらわれていて、まるでおとぎ話に出てくるかのようだった。
それを初めて見たときは、なんだか無性に気恥ずかしくなったのを覚えている。
まだ少女のような彼女に触れてもいいものかと、正直戸惑ったりしたものだ。
けれど少女の仮面の下には、艶かしい女の顔がしっかりと俺を捕らえていた。
無垢なベッドメイクに反するように、俺の下で乱れる紗英の身体。
俺は今までにないくらい興奮した。
それは汚しちゃいけないものを汚しているような、禁忌を犯しているようなそんな気分。