浮気の定理-Answer-



「ねぇ、店長?

私たち、いつからずっと一緒に暮らせるようになるの?」




白いレースにピンクの刺繍の施されたクッションを抱えながら、俺に寄り添う紗英。


俺はベッドに寄りかかりながら、そんな紗英の髪を撫でていた。




「荷物を向こうから運べば、すぐにでも一緒に暮らせるよ?

悪いけど、しばらくはここに住むことになるけど、いいかな?」




「店長と一緒なら、私はどこでもいいよ?」




とろんとした目をしながら、そんな可愛いことを言ってくれる紗英に、少しだけ後ろめたい気持ちになる。


マンションの家賃は桃子が払っている手前、あそこに俺が住むことは出来ない。


本当なら桃子を追い出して、紗英を受け入れたいところだけれど、家賃の負担が大きすぎた。


桃子も契約が終わるまではあそこに住むけれど、そのあとはどこか別の場所に引っ越すと言っていた。


手狭ではあるけれど、紗英の部屋に置いてもらいながら、子供が生まれるまでに新居を探すしかない。


幸い、慰謝料は払わずに済んだから、引っ越しはなんとか出来そうだった。

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