浮気の定理-Answer-
きっと俺は有頂天になっていたのだ。


なにもかも計画通りにうまくいったんだと、満足していた。


だから、もうすぐ離婚が成立するって時にあの女が俺の前に現れたのは、想定外だった。


目の前が真っ暗になるとはこのことだ。


吉岡真由は、その日俺の店にやってきた。


桃子の高校時代からの親友である彼女は、どこか桃子を崇拝してるところがあった。


憧れてると言ってもいいかもしれない。


営業中に涼しい顔をしながらランチを頼み、スタッフに俺を呼んでこいと頼んだらしい。


事務所からホールに顔を出して彼女を見たときには、離婚について何か真意を聞かれるんだと思った。


桃子から聞いて、文句の一つも言いに来たんだと、それくらいは聞いてやってもいいと、簡単に考えてた。


彼女は結婚前からあまり俺をよく思っていないようだったから、離婚を切り出したのが俺だということに我慢できなかったんだろうと。




「話があるんだけど、今夜時間作って?」




有無を言わさないような命令口調に俺は少なからずムッとした。


それは顔に出ていたらしい。


彼女も作り笑顔を崩して、俺を睨み付けてくる。
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