浮気の定理-Answer-
水落と同じことを、この女にしてやったっていいんだ。


一人で乗り込んできたことを、後悔するがいいさ……


照明のついた場所にあるテーブル席に、吉岡真由は当たり前のように腰をおろした。


俺はその目の前に座って、彼女を簡単には逃げられないようにする。


こんな華奢な女なんか、すぐに組伏せることが出来るだろう。


そんな横柄な態度で俺に接したことを後悔させてやる。




「……それで?話って?」




こっちから振ってやると、彼女は首を少し傾げながら不満そうな顔をした。




「お茶くらい、出ないの?」




瞬間、頭に血が上った。




「おっ前!こっちが下手に出てりゃあ、いい気になりやがって!」




堪えきれずに怒鳴ってしまってからハッとする。


慌てて彼女を見ると、特に怯むことなく余裕の笑みを浮かべていた。




「ふぅん……、それが本音?」




「……」




「別に下手になんか出なくてもいいのに」




「――っ!」




「私は事実を伝えに来ただけだから」




「事実って……なん、なんだよ!」



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