浮気の定理-Answer-
「妊娠のことは確かに桃子には伝えてない

でも他の女性と暮らすことは知ってるわけだから、その延長線上にそういうことがあってもおかしくないだろ?」




隠してることっていうのが、そのことであってくれという願いも込めて、俺は震えそうになる手を握りしめながらそう言った。




「それは、そうかもしれないわね?でも」




ゴクリと唾を呑み込む。



――でも、なんだ?勿体ぶらずに早く言え!



心の中では聞きたい気持ちと聞きたくない気持ちが葛藤してる。




「なんで、桃子はあなたとの離婚を認めたの?

そもそもあなたが浮気してたんだから、慰謝料なしとか有り得ないんだけど」




「それは……君にはどう話してるのか知らないが、先に浮気したのは桃子だからだよ」




苦し紛れにそう言ってしまってからハッとした。


その事実を桃子は話したんだろうか?


もし、話してなかったとしたら、自分からボロを出してしまったのかもしれない。


そしてそれは、吉岡真由の待ってましたと言わんばかりの顔で、証明されることになる。

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