浮気の定理-Answer-
「へぇ……あれって浮気って言うんだ」




自分の顔から血の気が引いていくのを感じた。




「あれは、浮気じゃなくて犯罪だと思うんだけど、違います?雅人さん」




「――っ!」




まさか、まさか、まさか!


水落にやらせたことを、この女は知ってるのか?


なぜだ?金だってきちんと渡したのになんで……


よりにもよってこの女が知ってるんだ!




「証拠は揃ってるの」




「――っ!」




俺が動揺したのを見て、女は勝ち誇ったような笑みを浮かべる。




「出るとこ出てもいいんですよ?」




そう言った吉岡真由の、笑っているように見えた顔は、目だけがまったく笑ってはいなかった。


――こいつ、本気だ……



ゴクリと唾を呑み込む。


考えろ!どうしたらこの女を黙らせることが出来るのか、考えるんだ!


気がついたら俺は、彼女の腕を引っ張り、床の上に押し倒していた。


両手首を掴んで床に押し付けると、夢中で彼女の首に舌を這わす。


そのまま心臓の辺りにまで舐めあげたとき、ふと違和感を覚えた。

< 176 / 350 >

この作品をシェア

pagetop